オランダ語はどこまで必要?オランダ移住・現地就活・趣味で感じたリアルな壁

オランダ生活

こんにちは、Lilyです。

オランダ=英語だけで生活できる、って本当?
実際に住んでみて、「英語だけじゃ正直きつい」と実感した私の体験をまとめてみました。 
これから移住を考えている方、現地で働きたい方、ぜひ参考にしてください。

オランダ語なしで本当に生活できる?

住む地域によっては、英語だけでも生活できないことはないと思います。
よく「オランダ人はみんな英語が話せるから、英語だけで大丈夫」と言われますし、私もオランダに来る前は、その情報をすっかり鵜呑みにしていました。
幼少期をアメリカで過ごし、政治や歴史のような話題でも不自由なく英語で話せる私にとって、「英語だけでも何とかなるだろう」という期待がどこかにあったのは確かです。もちろん、オランダ語が必要になる場面もあるとは思っていましたが、実際に暮らしてみると、その想像を超えて「英語だけでは厳しい現実」があることに気づかされました。

確かに、英語を話せるオランダ人はとても多いです。特にアムステルダムやロッテルダムのような大都市では、英語が標準語のように使われる場面も多く、インターナショナルな環境が整っています。
ですが、ここはやはりオランダ。
街を歩けば目に入るのはオランダ語、役所から届く書類もすべてオランダ語。電車の車内放送もオランダ語。
そして移民として長く住むためには、オランダ語力を証明する「市民統合化試験(inburgeringsexamen)」の受験も必要になってきます。

私が住んでいたエリアは、比較的インターナショナルな人が少ない地域だったこともあり、オランダ語を使わなければいけない場面が多くありました。また、夫がオランダ国籍ということもあり、オランダ人と関わる機会も自然と多くなりました。

その中で強く感じたのは、「オランダ語を学ぼうとしている姿勢がある外国人の方が、現地の人に受け入れられやすい」ということです。実際に現地のオランダ人から、「学ぶ姿勢すらない人には共感できない」「あまり良い印象を持たない」といった声を聞いたこともあります。
この経験から、英語はあくまで最終手段として考えるべきだと改めて実感しました。

また、さすがに役所から届く手紙なども、毎回翻訳ツールに頼るのは現実的ではないと感じ、できるだけ早くオランダ語を習得しようと決意しました。

生活の中で直面した言語の壁/コミュニティへの参加が難しい

私は幼いころから乗馬が趣味で、どの国にいても乗馬ができることが、私にとっては何よりの生きがいです。極端な話ですが、乗馬さえできれば、どこに住んでもいいと思えるほどです。
オランダをはじめとしたヨーロッパは乗馬大国で、クラブの数も多く、本場で学べることを心から楽しみにしていました。

ですが、そこで最大の壁となったのがオランダ語でした。

オランダ語が話せない私は、グループレッスンへの参加を断られてしまったのです。私の住んでいる地域でいくつかの乗馬クラブに問い合わせましたが、すべて「オランダ語ができないのであれば参加不可」との返答でした。
さらに、競技チームのトライアウトにも挑戦しましたが、オランダ語の乗馬用語が分かるだけでは不十分でした。安全性や周囲への配慮を考えると、納得できる対応だとは思います。

また、個人レッスンについても、英語で教えられるインストラクターがいないという理由で断られることが多く、結局、5か所のうち1か所だけが「個人レッスンならOK」と受け入れてくれました。

日本と比べれば費用は抑えめですが、それでも個人レッスンはグループレッスンに比べて高額。プライベートレッスンもスケジュールの関係で週に何度も取らせてもらえるわけではないので、想定していたよりも機会が少なく、せっかく本場で学べると思っていたのに…と、残念に感じました。
その気持ちが、逆にオランダ語を学ぶ強いモチベーションにもなっています。
※レベル感については、こちらの記事をご参照ください。


言語の壁を感じるのは、乗馬の場面だけではありません。日常の人間関係でも同じです。
私がこちらで出会った友人の多くは、私と同じく外国から来た人たちです。日本でも、地域の輪に入るには知り合いや紹介が必要なことが多いですが、オランダも同じような傾向があると感じます。
私ができた数少ないオランダ人の友人も、パートナーが外国人だったり、夫の友人夫婦といった、間接的なつながりから生まれたご縁がほとんどです。

現地就職の現実と求められる言語力

オランダ語がB1レベルあると、日常生活で「どうにもならない」という状況は少ないと思いますただ正直なところ、B1は小学校4年生程度の児童書が「だいたい理解できるけれど、まだまだわからない単語が多い」というレベル感です。
会話となると、定型文以外のやりとりはまだまだ難しく感じます。買い物やレストランなどで使う表現は暗記してしまえば何とかなるのですが、日常会話はハードルが高いと感じます。もちろん、現地企業を目指した就職活動となると、言うまでもなく歯が立ちません。
※レベル感については、こちらの記事をご参照ください。


日本人でオランダに来る方の多くは、起業ビザを利用して移住されている印象があります。
ただ、私の場合はもともとニッチな業界にいたこと、また日系企業ではなく現地企業で以前の職種のような仕事への就職を目指していたことから、オランダ語で最低でもB2〜C1レベルが必要というのはすぐに実感しました。
英語でオフィスワークを希望する場合、ビジネスレベルが求められるのは当然のことですから、オランダ語でも同じですよね。

オランダに来る前は「外国企業も多いし、英語だけで働ける」と聞いていましたが、実際の就活を通じて感じたのは、それは主にエンジニアやプログラミング系の分野だということです。
私のようなビジネス系の職種では、英語だけで応募できるポジションは、想像していたよりもずっと少ないと感じました。確かにオランダは英語が通じやすい国ではありますが、それでもすべての求人が英語で応募可能というわけではありません。「やっぱりここはオランダなんだな」と、改めて実感させられました。

そして英語だけで応募できる求人は競争率が非常に高いです。闘う相手は、他国から来ている多言語話者(マルチリンガル)で、英語はもちろんC1以上が当たり前。職種に応じた高いスキルも求められます。これらを満たして初めて、選考対象として検討してもらえる土俵に上がれるのです。
その意味で、英語力が高く評価されやすい日本の就活とは、求められるレベル感がまったく異なります。

日系企業での就職だからといって決して簡単というわけではありませんが、少なくとも日本語を活かせる環境がある分、選択肢として現地企業よりは入りやすいケースも多いように感じます。

もちろん、どの企業であっても就職は簡単ではなく、業界や職種、タイミング、運やコネクションといった要素が大きく影響します。

実際に就活をして改めて痛感したのは、日本にいた頃は勤めていた会社の「ブランド力」に助けられていたということです。しかし、オランダでは会社の知名度も、英語力も、それだけでは武器になりません。最初からある程度は覚悟していたつもりでしたが、実際に経験してみて、改めて現実の厳しさを思い知らされました。

要するに、日系企業以外の現地就職では、「スタートラインに立つ」こと自体が非常に難しいのです。
語学力、職種に求められる専門性、そして多国籍なライバルたちとの競争……
それらのハードルを乗り越えて、ようやく「選考対象として検討してもらえる」というフェーズに進める、そんな世界です。

だからこそ強く感じるのは、オランダ語ができればできるほど、選択肢の幅が格段に広がるということです。  

まとめ:英語だけに頼らない覚悟を

英語を話せるオランダ人は多いものの、誰もが英語を好んで使っているわけではなく、英語に苦手意識を持っている人も少なくありません。これは、実際にオランダで生活する中で強く実感したことです。

その国の言語を話せなくても生活できるのは、あくまで周囲の理解や寛容さに支えられているからだということを、忘れてはいけないと思います。オランダ人や他の人の善意に甘え続けていては、自分の可能性を狭めることにもなります。

言語に限らず、日々の生活の中で大切なのは、周囲の負担を少しでも減らすために「自分から歩み寄る姿勢」を持つことだと思います。移民として、その国の文化や価値観を理解するためには、まずその言語を学ぶことが第一歩だと感じています。

もちろん、オランダでも日本人コミュニティや英語圏のコミュニティだけで生活している方もいるでしょうし、それも可能です。ただ、誰もがそれを実現できるわけではありません。自分自身の現実と向き合い、前提を正しく捉えることが何より大切です。


※オランダでの就職活動についてや、私がオランダ語国家試験(B1)に合格した学習法については、また別の記事でまとめたいと思います。

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